『あそびぎ』のためのテキスタイル作り

『あそびぎ』のためのテキスタイル作り

ASEEDONCLÖUDが贈る子供服ソーイング本【こどものあそびぎ】
著者の玉井健太郎さん・玉井瑶子さんへのインタビューも最終回。
ラストは【こどものあそびぎ】らしさを、より表現するための重要な要素である
『オリジナルテキスタイル』の企画・作製にまつわるエピソードをお伺いしました。

 

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 Q. ソーイング本のためのオリジナルのテキスタイルはとても珍しいように思いますが、今回どのような経緯で企画が始まったのか教えてください。

 

ー玉井さん

【こどものあそびぎ】の企画がスタートするもっと前に、古くからの友人であり、ASEEDONCLÖUDの生地のアレンジでもお世話になっている堀内さん(※1)から、【キジとイロイロ】というハンドメイドがお好きな方に向けてのECサイトをローンチするという話を伺っていました。

一般に流通している生地だけを使って、世界観を表現するのには限界があるなと思っていたので、生地屋さんとコラボすることで、何か面白いアイデアが生まれるといいなと思い【こどものあそびぎ】の事を相談したのがきっかけで、オリジナルの生地作りがスタートしました。

 

ー瑶子さん

ASEEDONCLÖUDとは違って、子どもらしく無邪気に、自由に、ポップに仕上げたいと思っていました。

クラシカルなデザインでは表現しきれない子どもらしさを、テキスタイルでどこまで表現できるのか?色々と試行錯誤しながら進めたのですが、思いのほかテキスタイル作りが面白くて、また作ってみたいなと思いました。

 

(※1)…【キジとイロイロ】の運営会社、株式会社ファイブワンの代表取締役社長

 

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Q.一番お気に入りのテキスタイルはどれですか?

 

ー瑶子さん

全てお気に入りですが、出来上がってきた時に一番感動したのは<Safari embroidery print>(生地の全面に施した動物柄刺繍の上から、さらにカラフルなプリントをして仕上げた素朴な表情が特徴の中肉生地)です。

 

 

ー玉井さん

【こどものあそびぎ】の発売前に、ASEEDONCLÖUDの展示会で一足お先に「あそびぎ」のサンプルをお披露目したのですが、お客様の反応が本当に良かったです。

中でも<Safari embroidery print>で作ったアイテムを見た方が口々に「この生地どうなってるの?」と興味を持って見てくださいました。

 

ー瑶子さん

子どもって固定概念がないから、選ぶ色の配色が斬新じゃないですか?!(笑)

<Safari embroidery print>は<Painter -画家>のテーマで使おうと思っていたので、子ども独自の

 「自由でカオスな世界観」

みたいなものを表現したかったんです。

 

 

多色を表現するには、一般的にはプリントですが、それでだけでは立体感に欠けてしまうという課題がありました。

その流れで、刺繍も視野に入れたのですが、何色もの糸を使って刺繍すると…どうしても高価なものになってしまいます。

多くの方に、オリジナルの生地を使って洋服を作ってもらいたいという気持ちがあったので、刺繍は現実的ではないな…と諦めかけていました。

 

そんな時に、単色で刺繍をした生地の上から、刺繍の柄に合わせて色を乗せていく「マッピングプリント」という技術があることを提案してもらいました。

 

 

まるで子どもの塗り絵みたいで、企画の想いにぴったりの方法が見つかったなと思いました。

 

ー玉井さん

プリントの配色は、実は瑶子さんのおばあ様の刺繍作品を参考にさせてもらいました。

落ち着いてまとまったトーンの中に、パンチの効いたサックスの差し色がすごくいい感じ。

手芸が凄く上手な方で、瑶子さんの実家には、おばあちゃんの作品がたくさん飾ってあるんですが、僕も遥子さんも大好きな作品です。

 

 

ー玉井さん

色々とお話しましたが、どれも手間暇かけて作ったテキスタイルで、一般の生地屋さんでは出会えないスペシャルなものです。読者の方には、ぜひ手に取ってもらえたらいいなと思います。

 

 

【こどものあそびぎ】オリジナルテキスタイルの一覧はコチラ

 

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玉井さん、瑶子さん、詳しくお話しいただきありがとうございました。

次回は、実際に生地の企画から携わった本社スタッフや、

<キジとイロイロ>のスタッフを含む、ブログリレー形式でワイワイお送りして参ります。

オリジナルテキスタイルの製作秘話について、更に深掘りしていきましょう。

どうぞお楽しみに!

 

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<著者プロフィール >
玉井健太郎(たまい・けんたろう)
セントラルマーチンズ美術学校メンズウェア学科卒業。
ロンドンにてマーガレット・ハウエル UK のアシスタントデザイナーを経て帰国。 2010 年 S/S より
ASEEDONCLÖUD をスタート。

 

玉井瑶子(たまい・ようこ)

京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)卒業後、空間演出デザイン学科ファッショ ンデザインコース卒業。
大学を卒業後、ASEEDONCLÖUD でのインターンシップ を経て、2017 年より入社。商品企画に携わる。

 

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ASEEDONCLÖUD (アシードンクラウド)

19 世紀後期~20 世紀初頭の写真に見られる古い作業着の美しさを生かしながら、その 美しさの裏にあるアイデンティティーに、ウイットとユーモアを織り交ぜたデザインが特徴の日本のアパレルブランド。
ブランド名は、デザイナー玉井健太郎氏が子供のときに初めて創作した絵本の名前 (くもにのったたね) に由来。天然素材をベースに、毎シーズン様々な職業のライフスタイルからインスピレーションを得た デザインを展開中。

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