こんにちは。
今回のピックアップ素材は『こどものあそびぎ』のSailing jacquardです。
実際に生地の制作に関わった、企画の小山がこの生地の魅力をお伝えしようと思います。
その前に『こどものあそびぎ』の著者・玉井瑤子さんからこのようなお話を伺いました。
『幾何学模様で表現した魚や船が自由に旅をしています。
三角と四角だけで作ったモチーフなのに、まるで生きているよう。
子供たちにものびのびと大海原を回遊した気分になってほしいです。』
瑤子さんが語られたように、この生地は特別な織機を使うことで、40cmx100cmという大きな柄の表現を可能にしており、単調な柄にならず大海原をお魚が回遊している様が表現された、遊び心あふれる生地に仕上がっています。
また三角と四角だけで作った柄ですが、糸一本単位で柄の微調整を行ったこだわりの詰まった生地になりました。
海をモチーフにした生地を、どういうクオリティで作るかご相談いただく中で
『パッチワークキルティングのような生地を作りたい』というお話になりました。
なぜパッチワークキルティングのような生地を作りたいと思ったのか?
後にお話を伺うと昔の人は娘が結婚に行く際、その娘を想いチクチクと縫ったパッチワークキルティングを持たせていた背景があります。
『その人を想って作る』という背景が素敵だなと感じたそうです。
パッチワークキルティングは本来手作業で作るため、実際に製品として作ることは現実的ではありません。
様々な生地サンプルをご提案させていただく中で、今回の生地に発展しました。
Sailing jacquardは二重織りジャガードという生地で、キルティングのようなふんわりとした風合いですが、キルティングとは作り方が全く異なります。
二重織(にじゅうおり)とは、2枚の生地を重ねて1枚に仕上げる織り方のことです。
コートやタオルなどふわふわとした素材のものに使われることが多く、柔らかさと保温性の高さが特徴となっています。
今回の生地は両面柄がしっかりと見えるよう打ち込みを増やしたダブルガーゼジャガードというと、イメージしやすいかもしれません。
天日干しをしたようなふっくらとしたワッシャー仕上げで、とても柔らかく、お子様の肌に優しい触り心地です。
全国様々な生地の産地がありますが、それぞれの産地には得意とするものがあります。
その中で、この生地は埼玉県飯能市で作られています。
飯能産地は、1300年以上前に大陸から伝わってきた技術がルーツといわれています。
絹織物の産地として栄え、特に江戸時代から大きく発展してきました。 現在は工場の数は減少しているものの、独自の発展により技術の幅を広げ、高品質なモノづくりが評価されるだけでなく、ジャガードをはじめ多種多様な生地を生産しています。
ここまで高密度で柄が鮮明に出ている2重織りジャガードはなかなか他にはありません。
日本全国ここでしか作れない生地といっても過言ではないでしょう。
パッチワークキルティングのような生地を、キルティングではなく、今の技術でどう表現できるか。
そういった部分を踏まえても産地の特性と非常にマッチした生地作りができました。
とても素敵な生地に仕上がったので「どんなソーイング本になるのだろう」と私も非常に楽しみにしておりました。
是非、書籍「こどものあそびぎ」を手に取っていただき
誰かを想ってソーイングを楽しんでいただければと思います。
かわいいお洋服の作り方がたくさん掲載されています。
あまり縫い物が得意ではなくとも、生地だけでもとても素敵なので、シンプルなトートバッグなどから始めてみるのもよいのではないでしょうか。
裏も柄がしっかりと表現されているので裏を表面に使ってみてもよいかもしれません。
色々な楽しみ方ができますよ。
こだわりのたくさんつまったSailing jacquardをぜひ手に取ってみてください。
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