日本の生地の良いところ

日本の生地の良いところ

 

先日、会社に入社したばかりの子に「ジャパンメイドってなんで良い生地なんですか?」と尋ねられました。

お恥ずかしながらきちんとした回答が出来なかった自分がいます。そこで、改めて「ジャパンメイド」、日本の生地がなぜ良いと言われているのか、調べてみることにしました。

 

MADE IN JAPAN は日本製ではない!?
 

ところで皆さんは、今自分が着ている洋服がどこで作られているか知っていますか?

製品タグをみると「MADE IN○○」と書かれているのですぐに分かると思います。

MADE IN JAPAN」と書かれていると、「生地から縫製まですべてが日本製」と思われる方がいるかと思います。でもこれ、実は縫製工程を行った国の記載がしてあるだけで、生地の産地を表すものではありません。

生地においては生産地を言及されることはないのです。つまり、購入するお客様は洋服の生地の生産地を知ることが出来ないことになります。

少し違和感を感じるかもしれませんが、これは国際的な統一規定のため、世界中のアパレル製品がそのルール上に則って流通しています。

 

そのため、私たちが日ごろ目にする、「MADE IN JAPAN」と書かれている洋服の多くは、アジアを中心とした海外製の安価な生地を仕入れ、日本国内で縫製されたものです。

「日本国内の生地」を使用して、「日本国内で縫製」した製品は全体の2%程度だとも言われています。本来ならば流通コストが抑えられるはずの国産生地ですが、なぜそれほど使われることが少ないのでしょうか?

 

ハイスペックな日本の生地

 

日本製の生地ではなく、海外製の生地が使用される大きな理由は、日本製が「高価な生地」である事です。なぜ日本の生地は高級なのか?

要因のひとつに織機の違いがあります。海外に比べ、国内の生地生産に使われている機械は古いものが多く、最新型の機械と比べると時間と技術を多く要します。安価に効率よく大量生産できる海外製の生地とは違い、手間を惜しまず職人さんたちが手をかけて作るため、高価な生地になってしまうのです。ですが、最新機では表現できない風合いや、独自の技法を取り入れた付加価値の高い生地は世界に誇れる高品質の良い生地です。

例えるならば、「新潟県魚沼産コシヒカリ」や「青森県大間のマグロ」といった特産物のように、デニム生地で有名な岡山・広島県の「三備」、世界3大ウール産地と言われている岐阜・愛知県の「尾州」、タオルブランドとして有名な愛媛県の「今治」など、日本の生地産地は、その地域ごとの特色が生かされた生地を作っているのです。品質にこだわる海外の有名ブランドもこうした生地を使用して服を作っています。

 

国産生地のデメリット

 

ただ、こういった生地を使用した製品は原価が高くなり、高価な値段の製品になってしまいます。

近年のアパレル業界はファストファッション化が進み、安価な衣服が主流になっているため、国産生地の需要が低下しているのが現状です。10年以上前であれば、アジア系の海外製の生地は安価で低品質なものが多かったため、国内生地の需要も高かったのですが、現在は安価かつ高品質な生地も作られるようになり、海外製の生地の需要が高くなっています。パンデミックによる円安が進み、日本の生地産地は厳しい局面に立たされているのが現状です。

 

ジャパンメイドの強みと今後

 

このように聞くと不安な点もありますが、日本の生地には海外に負けない強みがあると思います。

それは、「生地への意識の高さ」と「アフターフォロー力」です。聞いた話にはなりますが、海外の工場では生産性を重視しがちで、生地のクオリティを疎かにする傾向があり、B反やC反と呼ばれるキズや汚れた生地も多く作られているということです。また、出荷後の対応もあまり良くないと聞きます。一方で、国内工場では途中で糸が切れたりしないか、織りキズが無いかなど、過程においても丁寧に生産を行っています。そのため、B反やC反はほとんどでません。生地ロスが少ないということはSDGsにも繋がります。さらに出荷された後もしっかりと対応しています。それを含めての「世界に誇るジャパンメイド」ではないでしょうか。生地の値段が高くてもそれに見合う価値がジャパンメイドの生地にはあるのです。

確かに、衣服の低価格化が年々進む中で日本の生地産業は厳しい状況下におかれています。廃業せざるを得なかった生地メーカーも少なくはありません。ですが、この逆境の中でも、産地の強みを生かし、技術を後世に繋げようと日々努力を続けています。「故きを温ねて新しきを知る」ではないですが、今まで培ってきた技術を元にそこからまた新たな生地を作り出せる力が日本にはあると思います。

 

日本の生地の良いところ…それは、

「職人さんの技術と愛情に溢れた生地」という事ではないでしょうか。

 

キジとイロイロではジャパンメイドの良さをたくさんの人に知ってもらいたく、日本産地の生地を多数取り揃えています。ぜひご覧になって見て下さいね。

 

 

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